インプラント 歯医者の興味深さ
これらの基礎研究は日本でも、すでに多くの医学部や医学研究所で進められているのである。
では、遺伝子治療がガンを制圧する日は、いつくるのだろうか?前述のL博士に質問したことがある。
彼の返事はこうだった。
「ガンの治療や予防にとって、遺伝子治療が大きな可能性をもっているのは間違いありません。
しかし、ガンのメカニズムはあまりに複雑で、まだわれわれはその正体を知っているとはいえない。
だから、いつ遺伝子治療によってガンが治るかという質問には、残念ながら答えられないのです。
でも、いや、だからこそ私をはじめ、ガンの研究者たちは研究を続けているんですよ」。
しかし、なんといってもアメリカが遺伝子治療に期待しているのは、エイズ治療やHIV(エイズウイルス)感染予防への応用であろう。
エイズの正式な日本名を、「後天性免疫不全症候群」と書いてみるとわかるように、この病気はエイズウイルスがヒトに感染するときからはじまり、免疫の機能が壊されて感染症が多発することで発病する。
免疫システムの主役であるリンパ球のなかでも、Tリンパ球といわれる種類にエイズウイルスは好んで感染し、増殖のたびに破壊を続けて免疫系の働きを危機にさらす。
そしてあるとき突然のようにリンパ球の数が激減して、ウイルスから微生物までの体内への侵入と繁殖を許してしまうことで、患者の身体は細菌や微生物の培養器と化す。
ふつうなら免疫系に阻まれて感染できない弱い菌類までが体内で繁殖する「日和見感染」と呼ばれる現象が起きて、その症候群によって生命が危険にさらされるわけである。
前に紹介したADA欠損症では、もって生まれた遺伝子の欠損などで先天的に免疫機能に不全が生じるが、エイズではウイルスの破壊活動によって後天的に免疫不全となる。
同じ免疫にかかわる病気でも、この点に大きな違いがある。
ひとくちに遺伝子治療といっても、両者に共通するのは″遺伝子を使って治療する″という発想だけで、具体的な方法は多くの面で異なってくる免疫系が異物を認識するメカニズムを少しくわしくみると、免疫が作られるのはウイルスそのものにたいしてではなく、ウイルスが身体の一部にもっている特有のタンパク質にたいしてリンである。
たとえば、ADA欠損症の治療では患者の血液中からリンパ球を分離して、そこに正常に働くADA遺伝子を入れるという発想になる。
ところが、エイズの場合は患者のリンパ球がすでにウイルスに冒されているため、そこに新しい遺伝子を入れてもほとんど意味がない。
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